はじめに
ポストコロナの影響で日本国内の経済は一定の回復を見せているものの、さらなる成長を目指して海外市場への進出を模索する企業が増えています。一方で、海外進出において税制対応や人材の確保も重要な課題として浮上しており、海外への市場進出を妨げる理由ともなっています。
進出先として注目される地域はアジアや北米ですが、その中でも特に成長著しいのがシンガポールです。シンガポールは世界的なビジネス環境ランキングで常に上位に位置し、新興企業(ユニコーン)や革新的なテクノロジー企業が次々と誕生するダイナミックな市場です。外務省のデータ(※)によると、2021年から2023年にかけて、シンガポールに進出した日系企業拠点数は年々増加しており、注目を集めていることがわかります。こうした企業の中には、弊社が実際に支援した事例もございます。
本記事では、シンガポールのビジネス環境、税制、人材確保のポイントを詳しく解説し、日本企業の進出を支援するための重要な情報を提供します。また、弊社が手がけたNetSuite導入の事例もご紹介し、スムーズな海外展開のヒントをお届けします。シンガポール進出をお考えの企業様にとって、少しでも参考になれば幸いです。
※2024年7月「海外進出日系企業拠点数調査」
2. 日本企業が抱えるグローバル展開の課題
海外展開における課題としては、主に以下のような声があります。
・IT関連の不安
日本企業が海外進出を計画する際、現地のITインフラやシステム連携が大きな不安要素となります。異なる規制、デジタル化レベル、セキュリティ基準に対応したシステム導入が必要であり、現地特有の課題解決が求められます。
・適切な人材の確保
現地の雇用市場や求職者のスキルレベルを理解し、適切な人材を確保するのは難しい課題です。特に、言語、文化、ビジネスマナーの違いを理解し、企業の目標に沿った人材戦略を築くことが不可欠です。
・税制や資金移管に関する複雑な対応
進出先の税制は日本と異なるため、法人税、消費税、二重課税回避協定などを把握し、最適な税務対策を立てる必要があります。また、資金移管の際には送金ルールや為替リスクへの対応が不可欠です。
・言語の壁や拠点の選定
現地でのビジネス展開には、言語の違いや文化的ギャップの克服が課題となります。加えて、ビジネスに適した拠点選定も重要です。アクセスの利便性、現地パートナーの確保、インフラの整備状況などを考慮する必要があります。
おそらく多くの日本企業の皆さんが抱える課題と、そう遠くないのではないでしょうか。弊社自身が複数の海外拠点を持ち、またお客様の海外進出を支えてきた経験から重要だと思うことは、「では、どの国を足掛かりにするのか」ということです。その課題の壁の高さは国によって異なり、政策方針に大きく左右されるということをご理解ください。
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3. シンガポールの強み
以上のような課題を抱えた日本企業にとって、シンガポールは優れた環境を提供する国です。最も大切な点は、シンガポール政府が外資会社を積極的に受け入れており、その促進のためにあらゆる制度がシンプルに完結するということです。
✔ ビジネス環境
- 世界銀行の「ビジネス環境ランキング」で常に上位にランクインしている
- 軍事事業や公益事業など一部の業種を除き、外資100%にて会社が設立可能
- 書類が整えば、会社設立はオンラインで24時間以内に完了
✔ 税制のメリット
- 法人税17%、GST(消費税)9%のシンプルな税制
- 設立後3年間の免税措置(10万SGDまで75%、超過した場合も50%控除)
- 二重課税回避協定が締結されている(50か国以上)
✔ 在シンガポール人材について
- 英語を話す労働者が豊富
公用語の一つが英語のため、英語でのコミュニケーションがとれる人材が基本
- デメリット:近隣国と比較してコストが高い
一方で教育レベルも非常に高いことが知られています。
✔ その他の考慮事項
- 良いインフラストラクチャーと戦略的な地理
- 先進国なのでインフラが整っている。また地理的にもアジア近隣国へのアプローチが可能
- スタートアップや海外拠点開設のための幅広い支援プログラムがある
- 現地資本30%の場合、給与計算からDX支援まで、金銭的な補助を受けることができる
- 国として外資を歓迎しているので、金銭的なものを含めさまざまな支援を受けられる。
- B2B請求書発行のプラットフォームとして、Peppolネットワークが利用可能
- 電子請求書について非常に進んでいるおり、ビジネスがしやすい環境
- 最近のASEAN新興企業のホットベッドである
シンガポールは、戦略的な地理的位置や先進的なインフラ、高度にデジタル化されたビジネス環境、そして外資系企業を支援する多様なプログラムを通じて、企業の成長や拠点開設を後押しする理想的な環境を提供しています。これらの要素を活用することで、日本企業にとっても、アジア市場の拠点やさらなるビジネス展開の土台を築くことが可能になるでしょう。
3. シンガポールの会社制度について
シンガポールにおいては、日本の株式会社に該当する制度として、「Private Limited Company」があります。Private Limited Companyの設立に必要な基本要件は、以下の通りです。
- 最低1名の株主を有する
- シンガポール居住者の取締役を少なくとも1名有する
- シンガポール居住の会社秘書(カンパニーセクレタリー)を会社設立後6ヶ月以内に選任する
- シンガポール国内の登記上の本店住所を有する
- 最低資本金1SGD以上を有する
このように、シンガポールでの会社設立要件はシンプルかつ合理的に設定されています。これにより、初期の資本負担を最小限に抑えながら、迅速かつスムーズな法人設立が可能となり、日本企業にとっても魅力的な選択肢となっています。
4. 弊社のシンガポール進出事例:ゼロからトップ代理店へ
今回は、一つの成功事例として、弊社のシンガポール事務所についてご紹介します。
◆シンガポールオフィスは順調に拡大中!
弊社は2016年からシンガポールの企業に出資していましたが、当時は自社法人を持たずに事業を進めていました。2019年に自社資本による法人を設立し、シンガポール現地企業向けの営業を開始。さらに、デリバリーリソースをシンガポールおよび近隣国で採用し、現在では年間数億円規模の企業へと成長しました。
加えて、シンガポール法人を基点に、マレーシア、インドネシア、タイにも法人を展開しています。現在、弊社はOracle NetSuiteやWorkday Adaptive Planningの代理店として、販売実績ベースでトップの座を獲得しています。
シンガポールでは比較的容易に法人を設立できますが、成功の鍵となるのは現地のマネージャー層の採用と教育です。適切な人材を確保し、権限を持たせた上で、重要なポジションに見合ったインセンティブを提供することが重要です。日本側が運用支援に集中し、現地チームが主体的に成長を遂げることで、より強固な事業基盤を築くことができると実感しています。
弊社のお客様である日系企業の多くが、シンガポールで事業を展開されています。グループ全体で会計、人材管理、業務プロセスの一元化が達成され、効率的な運営が実現した実例もございますので、ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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5. シンガポール進出を成功させるために
シンガポールは、東南アジアの成長拠点として、戦略的な地理位置や先進的なインフラ、外資系企業を歓迎するシンプルな税制と会社設立制度など、ビジネスを展開するための理想的な環境を提供しています。
本記事では、海外進出を目指す日本企業が直面するITインフラや人材確保、税制対応などの課題を解説し、シンガポール進出の利点を詳しく説明しました。貴社の海外展開における選択肢の一つとしてシンガポール進出をご検討いただければ幸いです。
今後も弊社は、グローバル拠点の展開やシステム導入を通じて、企業の成長を強力にサポートしてまいります。 東南アジア進出や、会計・人事システムのグローバル展開をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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Shearwater Japan株式会社は、アジアNo.1の NetSuiteパートナーです。
2012年の設立以来、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、中国、台湾、日本、韓国の各地域のクライアントと、Oracle NetSuite(https://www.netsuite.co.jp)、Workday Adaptive Planning(https://www.workday.com)、Workato(https://workato.jp)などの導入パートナー企業として、共に急成長を遂げてきました。
プロジェクト管理、コンサルティング、開発、他システムとの連携等を全てワンストップサービスで提供でき、自社海外拠点(中国、シンガポール、台湾、マレーシア)があるため海外展開先でも手厚いサポートに実績がございます。
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また 当社では 現在、一緒に働くスタッフを募集していますので、 Shearwater Japan で働きたいとお考えの方は是非とも採用・キャリアのページからご応募ください!
<参考情報
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1. NetsSuite導入インタビュー 
2. NetSuiteと他社のERPの違いを解説
https://netsuite1.sw-lp.com/
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