EPMとは?Enterprise Performance Management「エンタープライズ・パフォーマンス管理」についてわかりやすく簡単に解説
EPMとは
EPMはEnterprise Performance Managementの略称であり、日本語で「企業業績管理」と訳され、企業の目標達成に向けた計画、予算、予測、業績分析、レポーティングなどを包括的に支援するマネジメント手法です。
近年では、ビジネス環境の変化や不確実性の高まりに対応するため、意思決定の迅速化や業務の見える化が求められています。テクノロジーの進化や市場競争の激化、外部環境の不確実性の高まりなど、企業を取り巻く環境はますます複雑になっています。こうした背景から、EPMは企業経営を支える重要な仕組みとして注目されています。
なぜEPMが必要なのか
多くの企業では、予算や計画の策定、業績のモニタリングに多くの工数がかかっており、部門間の連携不足や、迅速な意思決定の難しさといった課題を抱えています。特に、経営層と現場の間で情報の共有がスムーズに行われていない場合、企業の方向性がぶれたり、タイムリーなアクションを逃したりするリスクがあります。
さらに、データが部門ごとに分断されていることで、全体像を把握するのが困難になっているケースも少なくありません。情報がサイロ化し、複数のシステムやファイルにまたがることで、手作業での集計や確認作業が増え、非効率な業務が常態化してしまうこともあります。
EPMは、これらの課題を解決するために、業務を横断的に管理し、情報の一元化と迅速な分析・判断を可能にする仕組みを提供します。これにより、経営陣は全社的な視点から現状を把握し、将来のシナリオに基づいた戦略的な意思決定が行いやすくなります。
EPMの主な機能と特徴
EPMは、経営戦略の実行を支える多様な機能を備えています。
- 予算編成
- 戦略に沿った予算を策定し、リソースを適切に配分
- 仮説に基づく数値計画や、シミュレーションによる検証も可能
- 業績管理
- KPIや財務指標を用いて、計画と実績を比較・分析
- 各部署の進捗を可視化し、アラートによる早期対応を支援
- シナリオ分析
- 複数の将来シナリオを想定し、柔軟な対応を支援
- 市場変動や原材料費の変動などを加味した柔軟な意思決定を促進
- レポーティング
- リアルタイムでの業績可視化により、迅速な報告と意思決定を支援
- 定型レポートの自動化により、分析にかける時間を確保
これらの機能を統合的に運用することで、戦略的かつ継続的な改善サイクルを実現します。また、EPMは単なるレポートツールではなく、意思決定の質を向上させるための「経営のコンパス」としても機能します。
EPM導入のメリット
EPMを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 迅速な意思決定
- リアルタイムでの情報分析により、状況に応じた柔軟な対応が可能
- 経営会議や予実レビューの精度が向上し、アクションが具体化
- 業務の効率化
- 部門間の連携強化やデータの一元化により、作業の重複や属人化を防止
- 担当者の作業負担が軽減され、より付加価値の高い業務へのシフトが可能に
- 目標管理の高度化
- 目標と実績のギャップを可視化し、継続的な改善を推進
- 数値目標の進捗状況が常時把握でき、モチベーション向上にも寄与
このように、EPMは企業活動の「見える化」と「最適化」を同時に実現する有力なツールです。特に、組織規模が拡大するにつれて複雑化する業績管理の仕組みを、シンプルかつ柔軟に運用できる点が高く評価されています。
EPM導入のステップ
EPMを導入するには、以下のようなステップが必要です。
- 現状の課題把握:予算編成や業績評価など、現在の業務プロセスを可視化
- 目的とゴールの設定:EPMによって解決したい課題や、期待する成果を明確化
- ツール選定と設計:自社の業務に適したEPMツールを選び、設計・カスタマイズ
- 導入・運用・定着:関係部門と連携しながら段階的に導入し、継続的な運用を通じて定着
特に導入初期には、ツールに対する社内の理解や協力体制の整備が重要となります。現場と経営層の両方を巻き込みながら、段階的に習熟度を高めていくことがスムーズな導入の鍵となります。
EPMの導入は、単なるITツールの導入ではなく、組織全体のマネジメント変革と位置づけることが重要です。業務の流れや意思決定の仕組みを見直す好機でもあり、全社的な目線で取り組むべきプロジェクトです。
DXとクラウドとの関係
近年では、クラウドベースのEPMソリューションが主流となりつつあります。これにより、初期投資を抑えながらもスピーディな導入が可能となり、リアルタイムな情報共有や多拠点での利用にも対応できます。自社でインフラを保有しなくても利用できる点は、IT部門の負荷軽減やスケーラビリティの確保にもつながります。
また、EPMはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進とも密接に関わっており、データ活用による業務改善や経営判断の高度化に寄与します。DXの文脈においては、EPMが企業内に点在する情報資産を統合し、意思決定に直結する形で活用することで、経営のスピードと精度を両立させる役割を果たします。
さらに、AIや機械学習と連携することで、予測分析や異常検知などの高度な機能を付加することも可能です。将来的には、EPMが単なる実績管理の枠を超え、経営の先を見通すためのインテリジェンス基盤として進化していくことが期待されています。
まとめ
EPM(Enterprise Performance Management)は、企業の業績向上に欠かせない重要なマネジメント手法です。業務の見える化と最適化を両立し、企業の競争力を高める基盤として注目されています。
クラウドやDXの文脈と組み合わせることで、EPMの導入効果はさらに高まります。クラウドの柔軟性とDXの戦略的視点を取り入れることで、EPMはより広範な経営課題の解決に資する基盤となり得ます。さらに、最新の技術との連携により、EPMは今後の企業経営においてますます不可欠な存在となるでしょう。
これからの経営において、スピーディで柔軟な意思決定が求められるなか、EPMの活用は企業の成長戦略における中核的な役割を担うことになるといえます。
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まとめ
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