【事例紹介】NetSuiteでECサイトを構築|SCA導入で実現するERP連携型Eコマース管理、3つのポイント
NetSuiteで行うECサイト運用とは
多くの企業にとって、ERPと連携したECサイトの運用は「やりたいけれど難しい」と感じる領域です。
システムが分断されていることで、在庫情報や注文状況の反映が遅れたり、二重入力や属人的な運用が発生したりと、
業務効率や顧客体験に悪影響を及ぼすケースも少なくありません。
本記事では、こうした課題に対し、NetSuiteのEC機能「SuiteCommerce Advanced(SCA)」を活用して、
ERPとECを統合管理できる仕組みを構築したBtoB企業の事例をご紹介します。
製造・販売業を営む同社がSCA導入を決めた背景、構築時の工夫など、現場でのリアルな知見をお届けします。
導入の背景:NetSuite導入とEC刷新を同時並行で推進
本プロジェクトの企業では、従来、SAPで基幹業務を管理し、自社構築のECサイトを運用していました。
ERPとECは個別に運用されており、連携も都度調整が必要という課題を抱えていました。
そうした中で、基幹システムをNetSuiteへ刷新する方針が決定され、同時期にECサイトの再構築も社内課題として持ち上がりました。
既存のECサイトは、レスポンシブ未対応、HTTPS未対応といった技術的課題を抱えていたためです。
ERPとECを切り離さず、一体型で運用する体制を整えることが重要と判断され、両システムを同時に見直すプロジェクトとして本格始動。
最終的に、NetSuiteとの親和性が高く、標準で多くの機能を備えるSCA(SuiteCommerce Advanced)がEC基盤として選定されました。NetSuiteとSCAは構築期間に一部重複があり、両システムは同時に本稼働を迎えています。

SuiteCommerce Advanced(SCA)とは:
NetSuiteとシームレスに統合されたECサイト構築プラットフォーム。
BtoB企業の発注サイトや見積対応、会員制ECに強みを持ちながら、BtoCにも対応可能な柔軟な設計が特徴。
受注・在庫・出荷・会計までを一元管理でき、業務の自動化・効率化を実現する。
多言語・多通貨対応、レスポンシブ設計、メール通知などの機能も標準搭載。
販路拡大や業務のデジタル化に取り組む企業にとって、有力な選択肢となる。

POINT1:標準機能を最大限活用し、効率的かつ安心なサイト運営を実現
SCAには基本的なEC機能が最初から備わっています(会員制サイト、見積機能、返品対応、注文管理、メール通知機能など)。
過度な開発は長期的なコスト増や運用の複雑化に繋がるため、標準機能を中心とした設計を行いました。
これにより、将来的なアップデートへの対応もスムーズになります。
- 初期段階から「SCAの標準機能をベースに構築する」方針を明確化。
過度な開発を避けることで、パフォーマンスや保守性への不安を軽減 - 標準機能を活用することで、導入コストを抑えつつ短期間での立ち上げが可能に
- 標準準拠により、将来的なアップデート対応も容易に


POINT2:お客様自身の理解を深め、納得いただいてから導入へ
SCA導入後、日々運用していくのはお客様ご自身です。
だからこそ、導入前の理解促進と社内合意形成を重視。現場で定着しやすい形を目指しました。
- 導入前に、2.5時間×4回のSCA勉強会を実施。全体像やECサイトの運用イメージを把握する機会を提供
- 要件定義・設計・トレーニングを丁寧に行い、社内理解を醸成
- お客様自身が理解・納得しながら判断を進められるプロセスを重視
POINT3: ECとERPのシームレスな統合で業務効率化を実現
SCAの導入により、フロントエンドのECサイトと、バックエンドのERP(NetSuite)がリアルタイムでつながる環境を構築。
情報の一元管理による業務効率化を実現しています。
- 顧客対応の迅速化や在庫精度の向上など、バックオフィスの業務負荷軽減にも貢献
- 注文ステータスや会員情報はNetSuiteとリアルタイムで同期
- ケース管理や在庫表示、マトリクス商品の展開表示など、業務に直結する情報をERPと統合

導入された主な機能
- 顧客(ユーザー)向け
- 会員限定サイト(クローズドEC)
- 注文・見積・返品機能
- ステータス更新や通知メールの自動化
- 管理者向け/UI関連
- ケース管理機能(お問い合わせ対応)
- 在庫・カスタム項目・新着情報・おすすめ商品表示
- パーソナライズカタログ(ロールに応じた商品制御)
- カスタム対応
- パスワード再設定機能(旧サイトからの移行対応)
- UIの微調整や表示設定の最適化


パフォーマンスも安心:高負荷に耐える設計
ECサイトにおける安定稼働は、ユーザー体験を左右する重要な要素です。
本プロジェクトでは、実際のアクセス数や注文件数を見据えた性能試験を実施。
1日あたり300件の注文、ピーク時には同時アクセス200名という運用を想定し、
最大400ユーザーの同時注文に耐えうる負荷テストをクリアしました。
NetSuiteと連携するSCA環境下でも、ページ表示速度や検索レスポンスといった基本性能を安定して維持できるよう最適化されています。
プロジェクト成功のカギ
このプロジェクトを成功に導いたポイントは、単なるEC構築にとどまらず、
「NetSuiteの機能を最大限活かす」ための体制を整えたことにあります。
- 徹底した標準機能の活用方針
標準をベースにすることで、保守性と将来のアップグレード対応を容易に。 - ユーザーとの信頼構築
トレーニングや勉強会を通じて、顧客側の理解度・納得度を高めるアプローチ。 - 開発の最小化と品質重視
UIや機能のカスタマイズは最小限に抑えつつ、必要な要件には丁寧に対応。
SCAの可能性は、これからが本番
今回の事例は「SCAの標準機能だけで、ここまでできる」ことを実証したプロジェクトでもあります。
まだ十分に知られていないNetSuiteのSCA機能ですが、
今後さらに多くの企業が「ERP連携型ECサイト」への移行を進める中で、大きな注目を集めると考えられます。
すでにNetSuiteを導入済みの企業にとっても、ECサイトの統合は次なるDXの一歩。
分断された業務をSCAでひとつにまとめることで、より効率的で見通しのよい事業運営が実現できます。
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<参考情報
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1. NetsSuite導入インタビュー
2. NetSuiteと他社のERPの違いを解説
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