クラウドネイティブとは?Cloud Native:最新クラウド活用のアプローチについてわかりやすく簡単に解説

なぜ今、「クラウドネイティブ:Cloud Native」なのか?

多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、既存のシステムをクラウド環境へ移行する「リフト&シフト」に取り組んでいます。しかし、「期待したほどの効果が得られない」「コストは下がったが、ビジネスのスピードは変わらない」といった課題に直面するケースは少なくありません。

その背景には、市場や顧客の要求が日々高度化し、変化に迅速に対応できる「俊敏性(アジリティ)」が企業の競争力を直接左右する時代になったことがあります。従来のシステム設計思想のままでは、このスピード感に対応することが困難なのです。

本記事では、この課題を根本から解決するアプローチとして注目される「クラウドネイティブ:Cloud Native」について、その本質からビジネスにもたらす価値、そしてそれを実現する具体的な技術までを、体系的に解き明かしていきます。

「クラウドを使う」と「クラウドネイティブ」の決定的違い

まず結論から言うと、クラウドネイティブとは、単なる「場所」としてクラウドを利用するのではなく、クラウドが持つ能力(柔軟性、拡張性、自動化など)を最大限に引き出すための「設計思想・文化・アプローチの総称」です。

この違いは、住居に例えると分かりやすいかもしれません。

  • 従来のクラウド利用(リフト&シフト) 地方の家(オンプレミス環境)で使っていた家具や生活様式をそのままに、都会の賃貸マンション(クラウド)へ引っ越すようなものです。場所は変わりましたが、暮らしの本質は変わっていません。
  • クラウドネイティブ 都会の土地(クラウドというプラットフォーム)の特性を最大限活かし、最新の設計思想と建材を用いて、暮らしやすい注文住宅(アプリケーション)をゼロから建てることです。耐震性や拡張性に優れ、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。

このように、クラウドネイティブとはアプリケーションを「クラウド環境に最適化された形」で構築・運用する考え方であり、発想の転換そのものを指します。

クラウドネイティブを支える4つの柱

クラウドネイティブという設計思想は、単一の技術で成り立つものではなく、複数の技術や文化が有機的に連携することで実現されます。ここでは、その中核となる「4つの柱」について解説します。

柱1:アーキテクチャ『マイクロサービス』

従来、アプリケーションは全ての機能が一つにまとまった「モノリシック」な構造が一般的でした。しかしこの構造では、一部の機能を修正するだけでも全体への影響調査や大規模なテストが必要となり、開発のスピードを妨げる一因となっていました。

マイクロサービスは、アプリケーションの機能を「商品検索」「決済」「在庫管理」といったように、独立した小さなサービスの集合体として設計する手法です。

  • ビジネスメリット サービスごとに独立して開発・改修・デプロイできるため、「決済機能は毎週、在庫管理機能は毎月」といった柔軟なリリース計画が可能になります。また、あるサービスに障害が発生しても、その影響を最小限に抑えられ、システム全体の可用性を高めることができます。

柱2:実行環境『コンテナ』

「開発者のパソコンでは動いたのに、本番サーバーではなぜか動かない」というのは、システム開発における典型的な問題です。OSやライブラリのバージョンの違いといった環境差異が、こうした手戻りやトラブルを引き起こします。

コンテナは、アプリケーションをOSやライブラリといった実行環境ごと「コンテナ」と呼ばれる軽量な仮想環境にパッケージングする技術です(代表例:Docker)。

  • ビジネスメリット 開発、検証、本番の各段階で全く同じ環境を再現できるため、デプロイの確実性が飛躍的に向上し、手戻りが減少します。一度コンテナ化すれば、どのクラウド環境でも同じように動かせるため、特定のクラウドベンダーに縛られない「ポータビリティ(可搬性)」も確保できます。

柱3:運用・文化『DevOps』

良いサービスを迅速に提供し続けるためには、アプリケーションを開発する「開発(Development)チーム」と、それを安定稼働させる「運用(Operations)チーム」の密な連携が欠かせません。DevOpsは、この両者の間に存在する組織やプロセスの壁を取り払い、ビジネス価値の提供を迅速化・自動化していくための文化・プラクティスです。

その実現手段として、ソースコードの変更からテスト、本番環境へのリリースまでを自動化する「CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)」パイプラインの構築が挙げられます。

  • ビジネスメリット 手作業によるヒューマンエラーを減らし、アプリケーションの品質を担保しながら、アイデアを素早くサービスとして顧客に届けられるようになります。これにより、顧客からのフィードバックを即座に次の開発に活かす、高速な改善サイクルが生まれます。

柱4:リソース管理『オーケストレーションと自動化』

マイクロサービス化によって多数のコンテナが生まれると、それらを効率的に管理・運用する必要が出てきます。そこで重要な役割を果たすのが、コンテナの管理を自動化する「オーケストレーションツール」(代表例:Kubernetes)です。

これらのツールは、アクセス負荷に応じたコンテナの自動増減(自動スケーリング)や、障害が発生したコンテナの自動復旧(自己修復機能)といった高度な自動化機能を提供します。

  • ビジネスメリット キャンペーンなどによるアクセス急増時にもサービスを停止させることなく安定稼働させ、ビジネスチャンスの損失を防ぎます。逆に閑散期はリソースを自動で縮小し、インフラコストを最適化します。人手を介さず自律的に運用されるため、運用チームの負荷も大幅に軽減することが可能です。

まとめ:DX時代を勝ち抜くための第一歩

本記事では、次世代のクラウド活用アプローチである「クラウドネイティブ」について解説しました。

クラウドネイティブとは、クラウドの真価を引き出すための戦略的アプローチであり、マイクロサービス、コンテナ、DevOps、そして自動化といった柱で支えられています。これは、単なる技術の刷新に留まらず、ビジネスの俊敏性を高め、市場の変化に迅速に対応できる組織能力そのものを構築する取り組みです。

まさに、顧客体験の向上や新規事業の創出といったデジタルトランスフォーメーション(DX)の目的を達成するための、強力なエンジンとなり得るでしょう。

まずは自社のサービスの中で、比較的小さく、変化の速いものからクラウドネイティブのアプローチを試験的に導入してみてはいかがでしょうか。

おすすめのソリューション

Celigo:アプリの統合で成長を加速

Oracle NetSuite:お客様のビジネスをサポートするソリューション

Workday Adaptive Planning:クラウドベースの自動化ソリューション

Workato:企業全体の統合とワークフローの自動化を実現

Products : 製品 カタログ

Shearwater Japanについて

当社「Shearwater Japan」は14年以上にわたって自動化プロジェクトやデジタル化を支援するクラウドソリューションの導入に携わってきた経験を持つ、アジアをリードするワンストップのファイナンスデジタルトランスフォーメーションコンサルティング会社です。当社は、クラウド基幹業務システム(ERP)、企業計画管理(EPM)、勘定照合、決算プロセスの自動化、企業間財務統合、スタック統合、ワークフロー自動化プラットフォームであるOracle NetSuite、Workday Adaptive Planning、Workatoなどのクラウドソリューションを提供しています。

クラウドソリューションの導入にお悩みであれば、是非ともこの機会にご相談、お問い合わせください。

また 当社では 現在、一緒に働くスタッフを募集していますので、 Shearwater Japan で働きたいとお考えの方は是非とも採用・キャリアのページからご応募ください!

<参考情報FP&A PBR netsuite erp

1. NetsSuite導入インタビュー Tableau IFRS

2. NetSuiteと他社のERPの違いを解説

https://netsuite1.sw-lp.com/

DXを実現するクラウドソリューションについてはこちら