ELTとは?Extract, Load, Transformについてわかりやすく簡単に解説
はじめに
データ活用が企業の競争力を左右する時代では、膨大なデータを正しく扱える仕組みが不可欠になります。ELTはその基盤を支える重要な手法であり、特にクラウド環境が一般化した現在では、従来のETLより柔軟かつ効率的な運用が可能です。ここでは、その基本的な考え方をより丁寧に解説します。
企業がデータ活用を進める中で、「ELT」という手法が広く使われるようになっています。従来一般的だったETLとは処理の順番が異なり、クラウド型データウェアハウス(DWH)の普及とともに注目されています。この記事では、ELTの意味や特徴、ETLとの違いをわかりやすく解説します。
ELTとは
ELTは、クラウドの高い処理能力を前提にしたデータ統合のアプローチです。データをまず大量に取り込み、必要な時に必要な形へ加工することで、分析の幅を広げられる点が大きな特徴です。特にデータの多様化やリアルタイム分析の需要が高まる中、ELTはスピードと柔軟性の両方を満たす方法として評価されています。
ELTとは、Extract(抽出)・Load(書き込み)・Transform(変換) の頭文字を取ったデータ処理手法です。
従来のETLとは異なり、データを先にDWHへ読み込み、その後に変換処理を行う点が特徴です。
クラウドDWHの処理能力が向上したことで、大量データの加工処理をDWH側で効率よく実行できるようになり、ELTが急速に広まりました。
ELTの3つのプロセス
ELTの流れはシンプルですが、各工程がデータ活用の精度と効率を左右します。それぞれの役割を正しく理解することで、より効果的なデータ基盤を構築できます。
1. Extract:抽出
各システムやアプリケーションから必要なデータを取り出します。
例:基幹システム、CRM、MAツール、ログデータなど。
2. Load:書き込み
抽出したデータを、加工処理を行う前にそのままDWHへ取り込みます。
クラウドDWHの高い処理性能を活かすため、未加工データを一気にロードする点が特徴です。
3. Transform:変換
データの加工や整形をDWH上で実施します。
- データの結合
- 欠損値補完
- 単位・形式の統一
- 分析用の集計
SQLやDWHの処理能力を活用して高速に実行できるため、柔軟性と拡張性が高い点がメリットです。
ELTが注目される背景
データ量の急増やビジネス環境の変化に伴い、従来の手法では対応しきれないケースが増えています。ELTはその課題を解決し、迅速な意思決定を支えるための手段として多くの企業が採用しています。
- クラウドDWHの進化(BigQuery、Snowflake、Redshift など)
- 大量データ処理の高速化
- AI・機械学習の普及により生データが必要になるケースの増加
- 分析スピードと柔軟性の向上
ELTとETLの違い
両者は似たように見えますが、処理の順番や変換の場所が異なるため、得意とする領域が変わってきます。クラウドの能力を最大限活かすか、品質を重視した事前整形を行うかなど、企業の目的によって適切な選択が必要です。
| 項目 | ETL | ELT |
|---|---|---|
| 処理順 | 抽出 → 変換 → 書き込み | 抽出 → 書き込み → 変換 |
| 変換の場所 | 専用サーバーで実行 | DWH上で実行 |
| 長所 | データの品質を担保しやすい | 大量データ処理に強い・スケールしやすい |
| 適した用途 | 従来型システム、バッチ処理 | クラウド分析基盤、ビッグデータ活用 |
ELT導入のメリット
ELTは大量データを扱う現代のビジネス環境に適した手法で、多くの企業が導入を進めています。クラウドリソースを活用することで、柔軟なスケールと高い処理性能を手軽に実現できます。
- 高速でスケーラブルなデータ処理が可能
- 生データを保持でき、分析の自由度が高い
- クラウドリソースを活用するためインフラ管理が不要
- 複雑なデータ加工を効率よく実行できる
まとめ
ELTは、現代のデータ環境において非常に重要な役割を果たす手法です。特にクラウド技術の進化とともに、より高速で柔軟なデータ活用が可能になっています。
ELTは、クラウドDWHの処理能力を前提に設計された新しいデータ統合手法です。先にデータをロードし、必要に応じて変換する方式により、柔軟性の高いデータ分析基盤を構築できます。
データ活用を強化したい企業にとって、ELTは非常に効果的な選択肢です。まずは現行のデータフローを見直し、クラウドDWHを活用したELTへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。
あなたにおすすめのソリューション
Oracle NetSuite:お客様のビジネスをサポートするソリューション
Workday Adaptive Planning:クラウドベースの自動化ソリューション
まとめ
当社「Shearwater Japan」は14年以上にわたって自動化プロジェクトやデジタル化を支援するクラウドソリューションの導入に携わってきた経験を持つ、アジアをリードするワンストップのファイナンスデジタルトランスフォーメーションコンサルティング会社です。当社は、クラウド基幹業務システム(ERP)、企業計画管理(EPM)、勘定照合、決算プロセスの自動化、企業間財務統合、スタック統合、ワークフロー自動化プラットフォームであるOracle NetSuite、Workday Adaptive Planning、Workatoなどのクラウドソリューションを提供しています。
クラウドソリューションの導入にお悩みであれば、是非ともこの機会にご相談、お問い合わせください。
また 当社では 現在、一緒に働くスタッフを募集していますので、 Shearwater Japan で働きたいとお考えの方は是非とも採用・キャリアのページからご応募ください!
<参考情報>
1. NetsSuite導入インタビュー 
2. NetSuiteと他社のERPの違いを解説
DXを実現するクラウドソリューション
についてはこちら
