NetSuite Next 登場:AI統合ERPで業務自動化と意思決定を加速(SuiteWorld2025 より)
“NetSuite Next” とは?次世代 ERP がもたらす革新
2025年10月、NetSuite を提供する Oracle/NetSuite チームは、「NetSuite Next」という次世代バージョンを正式に発表しました。(oracle.com)
これまでNetSuiteはAIに対して、他社の ERP とは全く異なるアプローチを取ってきました。
AI を「外付けツール」として追加するのではなく、基盤自体に組み込むという選択です。
今回発表されたNetSuite Nextは近年の一つの集大成となる革新的な発表であり、
業務の自動化や意思決定支援が ERP の内部で直接行われることを可能にしています。
さらに、既存の NetSuite 利用者は「ワンボタン」で Next モードに切り替えられる設計となっており、
従来のデータやカスタマイズを維持したまま最新機能を利用できます。
現時点では、まず北米市場で今後12か月以内に提供が開始される予定です。
米国外の提供時期については明言されていませんが、北米独自のローカライズが多く組み込まれているわけではなく、
NetSuite チームは早期に米国外でもテストを開始する方針を示しています。
Shearwater Japan は、NetSuite の導入・運用支援において豊富な経験を持つ公式パートナーとして、
本発表を「単なる機能拡張」ではなく、「お客様の現場変革を加速する転換点」と捉えています。
本稿では、NetSuite Next の特徴を整理するとともに、ユーザー視点でのメリットと、
Shearwater Japan がどのようにご支援できるかを分かりやすくご紹介します。

目次
NetSuite Next の主要機能と AI 活用の特徴
まず、NetSuite Next における注目機能を俯瞰的に把握しておきましょう。
- Ask Oracle(自然言語アシスタント)でデータ活用が簡単に
ユーザーは、従来のメニュー操作や検索を介さずに、「今月の売上実績は?」「在庫が不足している商品はどれ?」といった自然な文章や質問を入力するだけで、NetSuite 内のデータにアクセスできます。
Ask Oracle は質問の意図やコンテキストを理解し、回答を提示するだけでなく、グラフや表での可視化、さらに必要に応じて操作アクション(レポート作成や承認処理など)まで提案できる設計です。
また、どのテーブル/帳票/分析軸からデータを取得したのか、なぜその値になったのかといった“理由や背景”(how/why)も確認できるため、単なる数値の表示に留まらず、意思決定に直結する情報として活用できます。

- エージェント型ワークフローによる定型業務の自動化
定型・反復業務(例:支払提案、与信判断、発注判定、債権チェック、サプライチェーン運用など)を、AI アシスタント(=エージェント)が自動で処理・サポートします。ユーザーは個別の操作や指示を逐一入力する必要がなく、エージェントがあらかじめ設定されたルールや条件に従って業務を進めます。
もちろん、重要な判断や承認が必要な場面では、エージェントが自動で処理するのではなく、ユーザーに通知して承認を求める仕組みになっており、安全性と統制も担保されています。

- AI Canvas:AI と一緒に分析・シミュレーション
AI Canvas は、可視化、分析、シミュレーション、議論を一つの画面で行えるコラボレーション空間です。
ユーザーはグラフや表を確認しながら、AI に「この売上予測をもっと保守的にシミュレーションして」「在庫リスクの高い商品を教えて」といった指示や質問を直接投げかけることができます。
AI はリアルタイムで応答や分析結果を返し、必要に応じて画面上で修正やシナリオ比較を行うことも可能です。
つまり、AI Canvas 上では「AI と対話しながら業務データを分析・検討できる」ため、従来のように別ツールで分析して結果を報告する手間を減らし、意思決定のスピードを格段に向上させることができます。 - ナラティブ・サマリーで重要ポイントを自動抽出
帳票・欄外・フォームなどの画面において、傾向や相関性を自動的に文章・可視化で示す機能。
特異点・要注意点を予め抽出することで、手動で分析する手間を軽減します。 - UI/UX の刷新と操作性向上
Redwood Design System(Oracle の最新デザイン指針)に基づく UI で、リスト/スクロール/検索の操作性を改良。
記録フォーム、レポート、画面遷移などの体験がスムーズに。 - 基盤強化(スケーラビリティ、信頼性、透明性)
NetSuite Next は Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上で動作し、パフォーマンス向上、スケーラビリティ、可用性を確保。
AI モデルやエージェントの動きを説明可能/監査可能な設計とすることで、信頼性を担保。
OCI SLA参考: https://www.oracle.com/jp/cloud/sla/ - ワンボタン切替で既存データ・カスタマイズを維持
大きな特徴として、既存の NetSuite を利用中のお客様は「ボタン一つで」Next に切り替え可能、
かつデータ移行やカスタマイズの断絶を伴わないよう設計されている、という点が挙げられています。
以上が主なポイントです。これら機能を使いこなすことで、現場の“労力”を減らし、“価値創出”に注力できる方向へ ERP が後押しできる可能性があります。
ユーザー視点でのメリット:業務効率化と意思決定支援
上記機能を踏まえて、現場や経営層、および IT 組織それぞれの視点で「NetSuite Next を採用・移行する意味」を整理します。
- 導入・移行コストを抑え、すぐに新機能を試せる
最も注目すべきは、既存の NetSuite 利用者が「ボタン一つ」で Next へ切り替え可能という仕様。
通常、大掛かりなバージョンアップやデータ移行プロジェクトが必要なところを、切り替え障壁を抑えられる点は非常に魅力的です。 - 業務負荷の軽減と現場の脱定型化
従来の NetSuite でも、保存検索やカスタムレポート、定型ワークフローを使うことで一定の業務負荷軽減は可能でした。しかし、これらは作成や設定に一定の手間がかかり、ルール変更や条件追加があるたびに手動で更新する必要がありました。
NetSuite Next では、エージェント型ワークフローや Ask Oracle により、ユーザーが個別にルールや検索条件を作成・更新しなくても、AI が自動で適用・調整してくれます。例えば、「今週の在庫差異をチェックして異常値を通知する」「売上予測に基づき発注提案を自動作成する」といった業務を、従来よりもスムーズかつ柔軟に自動化可能です。
これにより、現場担当者は「データを追う作業」や「ルール作り」に時間を割く必要が減り、その分「仮説検証」や「新たな施策の立案」といった、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。 - 意思決定の迅速化と見落とし防止
Ask Oracle によって、「在庫が足りない可能性は?」「この仕入れ先の与信リスクは?」「売上見込みの変遷は?」といった質問を自然言語で即時問い合わせできるため、意思決定の検討フェーズが大幅に短縮されます。
さらに、ナラティブ・サマリー(データの傾向や異常点を文章で自動的にまとめた要約)をあらかじめ抽出しておけば、重要なポイントを見落とすことなく、迅速に対応できます。

- AI を統制下で安全に活用
AI を導入する際には、「判断の根拠が分からない(ブラックボックス化)」「誤った判断をしてしまうリスク」「セキュリティや承認フローが守られるか」といった懸念があります。
NetSuite Next では、AI の判断プロセスやデータ取得元をユーザーが確認できる「Explainable(説明可能)/Auditable(追跡可能)」な設計になっており、エージェントが自動で業務を進める際も、従来のロール・権限・承認フローが尊重されます。
たとえば、支払提案や与信判断では、AI が提案を作成した後、ユーザーは 承認して実行するか、AI に任せて自動で実行させるかを選択 できます。また、AI がどのデータを参照して判断したかや、根拠となる分析結果も確認できるため、監査対応やトラブル時の確認も容易です。
このように、NetSuite Next では「AI に任せる便利さ」と「統制・安心感」を両立させながら、業務の柔軟な自動化を実現できます。 - 将来拡張への柔軟性
Ask Oracle やエージェント機能は標準に組み込まれており、将来的な機能追加や高度化にも対応しやすい土台となっています。
パートナー/開発者も AI エージェントや高度ロジックを SuiteCloud 上で拡張できるよう設計されています。 - 競争優位性の強化
AI を「業務の自然な拡張」として取り込み、現場と経営判断の距離を縮めた運用ができること自体が、DXにおける競争力差を生む可能性があります。
特に市場変動が激しい環境では、データを「見に行く」より先に AI がアラートや示唆を出すような体制が強みになります。

具体的ユースケース(業界別シナリオ)
以下は、NetSuite Next の導入で効果が期待できる具体例です。
| 業界 | シナリオ | 想定効果 |
| 製造業 | 部品発注判断 → Ask Oracle に「来月需要見込みに基づく安全在庫数は?」と問う → 最適発注量を AI エージェントが提示 → 承認後自動発注 | 発注判断時間の削減、 在庫過多/欠品リスクの低減 |
| 小売/流通 | 売れ筋予測・死に筋予測 → ナラティブ・サマリーで季節傾向や異常値を通知 → 在庫補充・値下げ判断支援 | 機会ロス防止、在庫コスト最適化 |
| サービス業 | 請求/債権消込/延滞判定 → AI エージェントによる債権管理作業補助 → 延滞リスクを早期警告 | 回収率改善、事務負荷削減 |
| グローバル企業 | 国別連結決算/多通貨管理 → Ask Oracle で「国 X の為替差異は?」と問う → 自然言語で会計分析 | CFO/経理部門の高速意思決定支援 |
(もちろん、実際には業務内容・データ構造・要件次第で設計が変動します)
まとめ:導入コストなしで最新機能を活用、APAC への期待
NetSuite Next は、AI を基盤に直接組み込むことで、業務の自動化や意思決定支援を ERP 内で完結させられる革新的なバージョンです。
既存の NetSuite 利用者は「ワンボタン」で切り替え可能なため、追加コストや大規模な移行作業の心配もなく、新しい機能をすぐに試せる点も大きな魅力です。
現場の業務負荷軽減、意思決定の迅速化、AI の統制下での柔軟活用など、NetSuite Next が提供する価値は多岐にわたります。
特に DX やグローバル運営を推進する企業にとって、現場と経営判断の距離を縮める強力なツールとなるでしょう。
現時点では北米での提供が中心ですが、APAC 地域への対応も待ち望まれます。
Shearwater Japan では、今後の提供状況や最新情報についても随時お届けしてまいりますので、ぜひご注目ください。
Oracle NetSuiteの導入は、Shearwater Japanにお任せください!

Shearwater Japan株式会社は、アジアNo.1の NetSuiteパートナーです。
2012年の設立以来、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、中国、台湾、日本、韓国の各地域のクライアントと、Oracle NetSuite(https://www.netsuite.co.jp)、Workday Adaptive Planning(https://www.workday.com)、Workato(https://workato.jp)などの導入パートナー企業として、共に急成長を遂げてきました。
プロジェクト管理、コンサルティング、開発、他システムとの連携等を全てワンストップサービスで提供でき、自社海外拠点(中国、シンガポール、台湾、マレーシア)があるため海外展開先でも手厚いサポートに実績がございます。
クラウドソリューションの導入にお悩みであれば、是非ともこの機会にご相談、お問い合わせください。
また 当社では 現在、一緒に働くスタッフを募集していますので、 Shearwater Japan で働きたいとお考えの方は是非とも採用・キャリアのページからご応募ください!
<参考情報>
1. NetsSuite導入インタビュー 
2. NetSuiteと他社のERPの違いを解説
DXを実現するクラウドソリューション
についてはこちら
